最近のLDKプランの傾向
今回は、LDKのプラン(間取り)の傾向についてご説明しましょう。
■リビングアクセスへの要求
まず間取りにおいて大きな変化が、リビングアクセスという考え方です。
以前は、玄関⇒ホール⇒廊下や階段や居室といったゾーンの配置が多く見られましたが、最近は玄関⇒ホール⇒LDK⇒各居室といったゾーニングが目立ちます。
理由は二つ。
一つは、コミュニケーション上の問題です。
家族がそれぞれの居室に直行するのではなく、必ずLDKという中心となる場で、顔を合わせ会話が取れる間取りでありたいという要求です。
家族のあり方、親子のあり方ということが、問題視される昨今、家族の絆を取り戻したい、また子供を取り巻く様々な不安、社会環境に、しっかりと目を行き届かせていたい・・・、そんな要求が住まいの交差点として、LDKを中心と位置づけた計画に関心を高めているといえるでしょう。
リビングアクセスにすることによって、空間が有効に活用できる点も歓迎される要因となっています。廊下や階段といった通過するだけの機能空間を居室に取り込むことによって、それぞれの居室を広く確保することが出来ます。
特にLDKは、家族や来客者も集まる空間です。リビングアクセスによって一層広い空間を確保し、ゆとりが生まれることも、このゾーニングが歓迎される副因ともなっています。
(こういった空間を可能しているのは、住宅の断熱性能や気密性能が向上し、オープンな空間でも、温かく過ごすことができるようになってきていることが背景として上げられます。)
さて、こうすることによって、広く確保できるLDKですが、多くプランを見ていますと、いろいろな要素が、あちこちに点在し、視点の定まらない、散漫とした空間になってしまっているケースもよく見受けられます。
間取りの計画段階で、生活の様々なシーンにおいて、人と人、人と空間、人とモノがどういう位置関係にあるかを 家具のレイアウトをしっかりと落とし込み、検討することが必要です。
<LDKの機能>
■ マルチパーパス空間としてのLDK
家族や友人・知人また親戚が集う空間としてLDKのパブリックスペースが多目的化していることも、最近の傾向です。
家族それぞれがいろいろなスタイルで寛ぐことが出来る・・・、そんな要求が、広い空間を確保したいという目的にあります。心置きなくそれぞれがそれぞれの事をしながら、一緒の空間で過ごすことができる、そんなライフスタイルが求められています。
・ 子供の遊び・学習・休息の場として
・ 家族の団欒の場として
・ 家事や趣味の場として
・ 友人知人、親戚一同会する場として
・ 客間として
・ ホームステーション(パソコンを中心に情報の集約) の場として
・ 読書やAVを楽しむ空間として
・ 料理や食事を楽しむ場として
一人で過ごす場が各個室であるとすれば、LDKはみんなで過ごす、楽しむといった空間です。また広い空間が確保でき、それぞれがそれぞれの時間の過ごし方を一つの場で共有することが出来れば、なおその空間の目的は広がります。
家族の絆を見つめなおす場、作る場としてのLDKの機能は広がっています。

リビングルームの一角に設けたパソコンコーナー・・・皆で共有するパソコンコーナーが、家族の書斎に・・・。
<マルチパーパス空間としてのLDK計画のポイント>
■ポイント1 つながりと独立性
家族がそれぞれのことをしながら、一緒に過ごせる場としてのLDKは、一つの空間としての中心性を持ちながら、なおそれぞれのコーナーに独立性がが確保できると理想的です。
それぞれのコーナーが程よく独立性を保ちながら、それぞれのコーナーとつながりをもつゾーニング。コーナー間の距離は、人と人の距離であり、家族それぞれの気配を感じつつ、それぞれの過ごし方を包み込む計画
広さが確保できれば、独立性はおのずと確保できるのですが、広さが確保できない場合が、多いと思います。
家具の配置や、目線のコントロールによってコーナー化を図るように計画します。
空間が限られているほど、建築の計画性が重要となります。
■ポイント2 動線部分の確保
廊下や階段スペースを空間に取り込むことは、それぞれの空間への動線が、部屋の内部に必要となります。またいろいろな機能が増えれば、それだけ動線も輻輳してくることになりますので、建築計画段階から、家具を配置し、生活動線をしっかりとシュミレーションして、それぞれのコーナーの機能を阻害しないよう配慮が必要です。
■ポイント3 視線のコントロール
動線と同様視線のコントロールも必要です。
上り下りする階段の位置と寛ぐコーナーとの位置関係、また同様にトイレや洗面・浴室といったサニタリースペースへの目線のコントロール等への配慮がされていませんと、落ち着きのない、雑然とした計画になりかねません。

キッチンに立つ主婦からの視線の広がり・・・帰宅した家族や、外出する家族、またそれぞれのコーナーで過ごす家族の様子が目に入るが、それぞれのコーナーからは直接目線が会うことはないので落ち着いたコーナー作りが出来る。
■ポイント4 収納のあり方
機能が増えれば増えるほど、そこで必要とする物も増えます。リビングのAV関連、ダイニングの食器やテーブル周りの品々、キッチンの家電や調理機器また食材の収納、子供のおもちゃや勉強道具、趣味の物、家事に必要となるもの、ホームステーションとしての書類や機器関連の物・・・、仕舞いこむ物、見せる物を上手に計画する必要があります。
収納の計画は、建築的な収納、家具としての収納、整理方法としての収納と考えられます。それぞれに、建築士、IC、お客様自身と計画する人や時期が異なることも考えられます。
初期建築計画段階で、必要とされる要素が落とし込まれていないと、後々の計画や生活に問題が生じます。
■ポイント5 家具の配置
収納を含め、家具の配置が十分に間取り計画時に検討されていませんと、上記の動線や視線計画もうまく行きません。
特にリビングにおいては、近年大型化してきているテレビの納め方もポイントの一つです。今までのような奥行きのあるブラウン管テレビの場合は、部屋のコーナー(隅)が有効に活かせましたが、幅のある薄型テレビでは、それが納まる壁の確保が不可欠となります。
テレビの位置とソファの関連や、家事をこなす場とテレビの位置関係などを上手に収めたい物です。

最近はCAD図でのプラン作成や提案が増えてきていますが、プラン(間取り図)や家具のレイアウトも、手描きを取り入れてみましょう。暖かく、味わいのあるタッチが、お客様の心を捉えます。
具体的に生活の見える提案が、即生活の要求として、お客様とコミュニケーションできます。
間取り図というよりむしろ、生活俯瞰図といった方が適切かもしれませんね。
その図面での打合せは、広さやハードな物ではなく、どう生活するか・・・、といった内容が中心となります。
お客様の新しい住まいでのイメージはどんどん広がっていきます。
そこにスケッチパースがあったら、もっと具体的にイメージできるばかりでなく、素敵なアイデアが盛り込まれていれば、安心感が期待感へと高まります。
全てが手描きでなくとも、CAD図に家具等を手描きで入れ込むといった方法もいいでしょう。いろいろプレゼンも工夫して、それぞれのオリジナリティがつくれると良いと思います。
<いろいろなLDK事例>
独立したダイニングキッチンをリビングとワンルームにつなげて一部屋にリフォームする計画案

マンションのリビングダイニングキッチンのリフォーム案

新築のLDK計画案・・・ダイニングの脇に主婦のコーナーを計画
吹き抜けや階段スペースをLDKに取り入れ、空間の広がりを感じさせる計画

















